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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

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2017(平成29)年度 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) 3四半期運用状況について(訂正版)

 

1 2017(平成29)年度 第3四半期運用状況

 

1 管理人の懸念

 

2017(平成29)年度 第3四半期の運用状況の訂正記事が、2018年6月15日付けで報告されています(オリジナルの訂正前の記事自体は、2018(平成30)年2月2日(金)に公表した模様)。

関連するpdfを、数件見てみましたが、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のホームページ内の資料(pdf)内には、どの記事も日付がなく、何か隠したいのではないかと疑うような体裁になっているような気がします。その姿勢の原因として、世論、マスコミが何かと叩き、攻撃的な報道をしすぎて、自己保身に走らざるを得なくなるのではないかと思わせます。

 

年金原資に、株式を組入れることを決めたこと(言い換えると、株式を組入れた運用を開始した時点)で、マイナス運用になることは当然ありうることなのですが、報道各社は、「それ! 運用がマイナスになった。」「年金資金が減少している」などと、ネガティブ、攻撃的な記事で、読者、国民の関心を引きつけます(扇動する言えば、言い過ぎか?)。

報道各社は、株式を組み入れた場合に想定される、プラス面とマイナス面について、もっと学習してもらいたいし、GPIFを不必要に攻撃することをやめてもらいたい。と思っています。

 

貯金以外の投資の経験があれば、評価額はマイナスになりうるし、マイナスになった時点で資金を追加投資すれば、”次の株価上昇局面”で、大きくプラスになる可能性が増えることが実感としてわかってきます。ポイント(実感としてわかってくる)は、「株価の上昇局面でないと、トータルとして、プラスになりにくい」ことです。

 

公的な年金運用は、人間の一生と違い、終わりがなく、常に、資金が流入し続け、常に、資金が流出を続けます。この、「常に、流出、流入が続く」ということを考えると、永遠の生命を得ている人間のようで、終わりを考える必要はなく、短期の運用損益にとらわれることなく、株式のように、成長が見込める投資先に大きなポジションを置くことは、とても重要な視点です。

 

2 2017(平成29)年度 第3四半期運用状況

 

資料の間違いを訂正することは重要なことで、一般に公開する姿勢は、評価できます。

 

今回の訂正について

 

平成30年2月2日(金)に公表した平成29年度第3四半期運用状況について、以下のとおり訂正します。

(1)運用資産全体の平成29年度「第3四半期」の列の「運用資産額」(厚生年金分)

 

 153兆421億円(誤) → 153兆422億円(正)

 (原因)外国株式の一部の銘柄での時価誤り

 

(2)市場運用分の平成29年度「年度」の列の「総合収益額」(厚生年金分)

 

 14兆6794億円(誤) →14兆6795億円(正)

 (原因)外国株式の解約ファンドでの過去分の配当収益の計上漏れ

 

です。正確に資料を報告しようとする姿勢が伺えます。

 

 

さて、2017(平成29)年度 第3四半期の運用状況です。

 

平成29年度第3四半期運用状況

年金積立金管理運用独立行政法人

 

年金積立金は長期的な運用を行うものであり、その運用状況も長期的に判断することが必要ですが、国民の皆様に対して 適時適切な情報提供を行う観点から、作成・公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか、四半期ごとに 運用状況の公表を行うものです。 収益は、各期末時点での時価に基づく評価であるため、評価損益を含んでおり、市場の動向によって変動するものである ことに留意が必要です。

 

 

 

運用成果 平成29年度第3四半期

市場運用開始以降

(平成13年度〜平成29年度第3四半期)

収益率 +3.92%(期間収益率)  +3.39%(年率)
収益額

+6兆549億円(期間収益額)

うち利子・配当収入は7635億円

+68兆9822億円(累積収益額)

うち、利子・配当収入は30兆3199億円

運用資産額

162兆6723億円

(平成29年度第3四半期現在

 左に同じ

 

 

1 平成29年度第3四半期運用環境

 

 略

 

 (各市場の動き(10月〜12月))の国内債券、国内株式、外国債券、外国株式の参考指標とベンチマーク収益率の詳細説明。表4枚、グラフ4枚

 

2  運用資産別の構成割合(年金積立金全体)

  

 

第3四半期末

(平成29年12月末)

(年金積立全体)

  構成割合
国内債券 27.67%
国内株式

26.05%

国債 14.13%
 外国株式  25.08%
 短期資産  7.06%
 合計  100.00%

 

 

運用資産別の構成割合(年金積立金全体)

運用資産別の構成割合(年金積立金全体)

 

(参考資料1)

 

1 運用資産全体のまとめ

 

運用資産全体 平成28年度

平成29年度

       
   通年  第1四半期 第2四半期  第3四半期  第4四半期   年度
収益率(%)

5.86

3.54

2.96 3.92   10.70
収益額(億円)

70363

51153

44517 60549   156219

収益額のうち、

利子・配当収入

(億円)

25334

9016

5739 7635   22391
運用資産額(億円)

1449034

1491987

1568177 1626723   1626723

 

 

2 収益率の状況

 

運用資産全体 平成28年度

平成29年度

       
   通年  第1四半期 第2四半期  第3四半期  第4四半期   年度
収益率(%)

 5.86

3.54

 2.97  3.92    10.70

 

 

3 収益額の状況

 

運用資産全体 平成28年度

平成29年度

       
   通年  第1四半期 第2四半期  第3四半期  第4四半期   年度
収益額(億円)

 79363

51153

44517 60549    156219

 

 

4 運用実績推移

市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(平成13年度〜平成29年度第3四半期)

 

市場運用開始後の四半期収益率と累積収益額(平成13年度〜平成29年度第3四半期

 

平成13年から平成29年12月まで、収益額は、68兆9822億円。収益率は、3.39%(年率)です。

 

2 所感

約17年運用のうち、11勝6敗です。6割以上勝っているので、収益率は3.39%(年率)です。

1.0339の17乗をすると、1.7625。つまり17年間で76%の値上がりです。債券が41.8%、株式が51.13%のバランスファンドと思えば、このようなリターンでしょうかね。

運用の終了点がなく、継続的に、確実な金額の資金が定期的に流入し、確実な金額の資金が定期的に流出していくことが事前にわかっているので、株式の割合をもっと増加させてもよいと思いますが、高度な最新の理論的には、この割合が最適なのでしょうかね。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。