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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

米国株式、投資信託、日々の生活などについて発信します。



スリーエム(MMM)の2018年営業減益、純利益増。2019年は失速の見通し

 

(2019年5月26日 更新) 

 

1 2019年第一四半期決算

 

スリーエムの4月25日発表の2019年第1四半期(1月ー3月)決算実績は、

 

  • 売上高:78億6300万ドル(前年同期比5.0%減) ← 市場予測では80億ドルだったので、失望売りを招いた。
  • 営業利益:11億3600万ドル(同12.8%増)
  • 当期純利益:8億9100万ドル(同48.0%増)
  • 1株あたり利益は、1.51ドル

 

でした。市場予測を下回っていたので失望売りで暴落(4月25日の1日のみで、12.95%暴落。その後も奈落の底へ株価下落中。)という結果になったのですが、利益が増加しているので、悲観することはないと思います。

 

加えて、スリーエムは、中国の売り上げが大きいため、米中貿易戦争の影響を受けますが、その貿易戦争は延々とは続かないと思いますから、株式保有のままでもいいと思います。 

  

2 2018年12月末決算

 

1 業績概要

2018年通期は、需要底堅く全部門が着実増。原料高と販売費増で営業減益。ただ、税恩恵あり純益は増益であった。2019年通期も全体に増収確保し、営業利益は上むく見通し。 

 

2 各種の指標、他社比較、地域分布など

 

採用インデックス

ダウ30、S&P100、S&P500、ラッセル1000、S&Pグローバル100

 

S&P格付け

AA-

 

上場市場:NYSE

 

同業種内順位(全311社)資本財

時価総額>2位

<売上高>9位

<同業種内時価総額1位>The Boeing

 

<ライバル企業>

Avery Dennison,Lexmark International,Shurtape Technologies,Transweb,

Johnson&Johnson

同業種の日本企業:日東電工積水化学工業ニチバンコクヨ 

  

<テーマ>

連続増配(61年)

 

<ブランド>

Post-it(糊付き付箋)、Scotch-Brite(たわし)、Scotch(粘着テープ)、Littmann(補聴器)、その他多種多様な製品(ヘルスケアから鉱業、石油・ガス関連まで。 注:書ききれないほど多い)

  

<株主構成>

機関投資家(71.3%)

事業会社(0%)

個人・役員(0%)

その他一般株主(28.5%)

 

<事業構成>

Industrial(37.4)

Safety and Graphics(20.8)

Health Care(18.4)

Electronics and Energy(16.7)

Consumer(14.6)

Corporate and Uallocated(0.1)

 

 

<地域別売上高>

米国(39.2)、アジア太平洋(31.3)、欧州・中東・アフリカ(20.3)、ラテンアメリカ・カナダ(9.2)

 

米国が4割で、残りの6割が広がっている点がよいですね。ただ、中国向け増大中で、米中貿易戦争の影響を受けて、株価暴落しています。 

 

2 業績詳細

 

単位は100万USドル

 

損益計算書
売上高 営業利益 営業利益率 純利益

希薄化後

1株益

1株配

増配率

(%)

配当性向
12 29904 6483 21.68 4444 6.32 2.36   37.3
13 30871 6666 21.59 4659 6.72 2.54 7.63 37.8
14 31821 7135 22.42 4956 7.49 3.42 34.65 45.7
15 30274 7060 23.32 4833 7.58 4.10 19.88 54.1
16 30109 7223 23.99 5050 8.16 4.44 8.29 54.4
17予 30935 7562   5402 8.93 4.7213   52.9
17 31657 7333 23.16 4858 7.93 4.70 5.86 59.3
18予 33672 8347   6405 10.58 5.36298   50.7
18 32765 6870 20.97 5349 8.89 5.44 15.75 61.2
19予 33343 8127 24.37 6219 10.65 5.66478   53.2
20予 34280 8595 25.07 6612 11.52 6.16433   53.5
21予 35108 8908 25.37 6820 12.13 6.37943   52.6

 

2018年以降の業績も堅調が続く見通しです(ただし、2018年は営業減益であった)。

配当性向は6割を超えてきましたが、2019年以降も増配の余地が大きいです。

  

財務

 

総資産 自己資本 自己資本比率(%) 1株株主資本(USD) 非支配持分 有利子負債 流動資産 固定資産 流動負債 固定負債
15 32883 11429 34.76  18.76  39 10844  10986 21897  7118  14336 
16 32906 10298 31.30 17.26 45 11695 11726 21180 6219 16389
17 37987 11563 30.44 19.44 59 14016 14277 23710 7687 18737
18 36500 9796 26.84 16.99 52 14728 13709 22791 7244 19460

  

 流動比率=189%。お金持っています。

  

指標 

 

ROE ROA 設備投資 減価償却 研究開発
16 46.49 21.96 1425  1483  1735
17予 52.46 22.98 1397 1532
17 44.44 20.69 1384 1565 1842
18予 55.39 21.98 1637 1637 -
18 50.09 18.45 1579 1562 1816
19予 63.49 22.27 1808 1622 -

 

ROEROAとも、高率です。特にROAが20%を超えていて、資産に対しての利益が十分上がっています。

ROAが、20%どころか、30%を超えている企業もありますが、資本財セクターで比べると、非常に高率です。

 

PER(変動しますが、ここでは、12月末で比較しています)

2016年実績 21.88

2017年実績 29.68

2018年実績 21.43

2019年予想 19.44

 

 

BPS(一株当たりの純資産)(上表の1株当たりの株主資本)

2017年実績 19.44

2018年実績 16.98

2019年予想 17.80

 

資本財セクターの他社と比較すると、高い方だと思われます。

 

発行済株式数(100万株)

2016年 596.72628

2017年 594.88424

2018年 576.57517

 

キャッシュフロー

 

営業CF 投資CF 財務CF 現金同等物 フリーCF 営業CFマージン
15 6420 -2817 -3648 1798 3603 21.20
16 6662 -1403 -4626 2398 5259 22.13
17 6240 -3086 -2655 3053 3154 19.71
18 6439 +222 -6701 2853 6661 19.65

 

キャッシュフローマージンが、15%を超えていて、優良企業です。2017年、2018年は20%を切りましたが、依然、高率と言えます。

 

スリーエムの6ヶ月間株価チャート

 

スリーエムの6ヶ月間株価チャート。暴落中。

スリーエムの6ヶ月間株価チャート

 

 

スリーエムの10年株価チャート

 

スリーエムの10年間株価チャート。下落中。

スリーエムの10年間株価チャート

 

所感

優良企業で、自己資本比率が高いなど、財務が安定していますが、2019年4月25日の第1四半期決算以降暴落中です。

 

また、JPモルガンチェースは、5月20日のレポートで、2019年末の目標株価を143ドルに引き下げました。将来の減配の可能性を指摘しています。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。