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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

米国株式、投資信託、日々の生活などについて発信します。



マシュマロテストとは。年少期と成人後の行動比較の結果は驚くべき事実。株式市場暴落時の自制心をいかに保つか

1 市場に参加しつづけること

 

1 株式市場に参加しつづけることが重要

 

株式市場は、常に将来の業績を織り込みながら、価格形成されていくのですが、個人投資家(兼業?、専業?)が、専門家、言い換えると、市場(専門家の集団)を出し抜いて、市場平均以上のパフォーマンスを上げ続けることは容易ではありません。

しかし、実際には、市場平均以上の成績を納めつづける投資家が、無数にいることを考えれば、不可能なことではないのだと思いますが、確率的には低いでしょう。

(管理人は弱小個人投資家で、身の程をわきまえているつもりですが、「身の程わきまえ・・」などと自称する人(管理人も含まれます)は、意外にも、自己評価が、周囲の冷静な評価より高いことを多々見受けます。)

 

さて、「市場に参加し続けることが重要」は、チャールズ・エリス氏の「敗者のゲーム」に出てくる言葉ですが、管理人はこの言葉を頼りに投資を続けています。

 

管理人は、リーマンショック時は、日本株式投信のみの保有でしたので、成績がプラスになるまで非常に長い時間がかかり、精神的には辛かった思い出があります。プラスになったのは、管理人の努力の成果ではなくて、市場が(政府のテコ入れにより?)反発したからです。

 

さて、「マシュマロテスト」という非常によく知られた実験を紹介します。

管理人の知っている心理テストの中では、飛びっきり重要な実験の一つです。

 

2 マシュマロテストとは

 

ウィキペディアで、改めて調べてみたのですが、管理人の知っているマシュマロテストは、スタンフォード大学での実験でした。

長い引用ですが、非常に面白く、示唆に富んだ実験です。

 

1 スタンフォード大学での実験(1970年 ウォルター・ミッシェル)

 

〈方法〉

職員の子どもたちが通う、学内の付属幼稚園の4歳の子ども186人が実験に参加した。

被験者である子どもは、気が散るようなものが何もない机と椅子だけの部屋に通され、椅子に座るよう言われる。机の上には皿があり、マシュマロが一個載っている。

実験者は「私はちょっと用がある。それはキミにあげるけど、私が戻ってくるまで15分の間食べるのを我慢してたら、マシュマロをもうひとつあげる。私がいない間にそれを食べたら、ふたつ目はなしだよ」と言って部屋を出ていく。

 

子どもたちの行動は、隠しカメラで記録された。

1人だけ部屋に残された子どもたちは、自分のお下げを引っ張ったり、机を蹴ったりして目の前の誘惑に抵抗した。小さな縫いぐるみのようにマシュマロをなでたり、匂いをかぐ者もいた。目をふさいだり、椅子を後ろ向きにしてマシュマロを見ないようにする者もいた。

映像を分析した結果、マシュマロを見つめたり、触ったりする子どもは結局食べてしまう率が高いこと、我慢できた子どもは目をそらしたり、後ろを向いたりして、むしろマシュマロから注意を逸らそうとする傾向があることが観察された。

すぐ手を出してマシュマロを食べた子供は少なかったが、最後まで我慢し通して2個目のマシュマロを手に入れた子どもは、1/3ほどであった。

 

ウォルター・ミシェルの娘も実験に参加した一人だったが、娘の成長につれ、ミシェルは実験結果と、児童の成長後の社会的な成功度の間に、当初予期していなかった興味深い相関性があることに気がついた。

そして1988年に追跡調査が実施された。

その結果は、就学前における自制心の有無は十数年を経た後も持続していること、またマシュマロを食べなかった子どもと食べた子どもをグループにした場合、マシュマロを食べなかったグループが周囲からより優秀と評価されていること、さらに両グループ間では、大学進学適性試験(SAT)の点数には、トータル・スコアで平均210ポイントの相違が認められるというものであった。

ウォルター・ミシェルはこの実験から、幼児期においてはIQより、自制心の強さのほうが将来のSATの点数にはるかに大きく影響すると結論した。

2011年にはさらに追跡調査が行われ、この傾向が生涯のずっと後まで継続していることが明らかにされた。

 

また被験者の大脳を撮影した結果、両グループには、集中力に関係するとされる腹側線条体前頭前皮質の活発度において、重要な差異が認められた。

同実験は、スタンフォード大学で「人間行動に関する、最も成功した実験のうちの1つ」とされた。

 

2 再現実験

 

一方、被験者の数を900人以上に増やしてマシュマロ実験の検証を行っていたニューヨーク大学のテイラー・ワッツ、カリフォルニア大学アーバイン校のグレッグ・ダンカンとホアナン・カーンは、2018年5月25日に「マシュマロ実験の結果は限定的」とする実験結果を発表した。

スタンフォード大学での実験は被験者が大学の関係者に限られていたが、再現実験ではより広範な被験者についての実験が行われ、実験結果について被験者の家庭の年収といった要素ともあわせて、複合的な分析が行われた。

その結果、「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」は被験者の経済的背景と相関が高く、長期的成功の要因としては「2個目のマシュマロを手に入れたかどうか」よりも被験者が経済的に恵まれていたかどうかの方が重要であったこと、「2個目のマシュマロ」と長期的な成功は原因と結果の関係ではなく、経済的背景という一つの原因から導かれた2つの結果であったこと、が示されたという。

 

ウィキペディアより引用

 

3 マシュマロ実験と投資

 

ここで、ミッシェル(スタンフォード大学)のマシュマロの実験の結果は、後で追加のマシュマロをもう1個得られる場合ので、1個目を食べずに我慢できるかを調査しています。また、長期の追跡調査で、自制心の強さが続く可能性を調査しています。

 

さて、管理人は、「市場に参加し続けること」は、「いずれ、株式市場が回復する時がやってくるので、株式を保持しておくと、大きなリターンが得られる可能性がありますよ。自制心を持って、冷静であり、狼狽売りなどしないように。」と読み替えることができると思っています。

 

昨年、日本のある資本財株式を、全株売却し損きりしましたが、その後明らかになった、株価下落と回復の見込みが見出せないほどの当該企業の業績不振を考えると、「市場に参加し続けること」 イコール 「何でもかんでも保持すること」 ではありません。個別株は個別株リスクが付きまといますので、銘柄選別が重要です。

「敗者のゲーム」でも、市場平均ファンドの保持を推奨しています。

 

マシュマロテストは、幼少時の自制心の程度が生涯続く可能性について実験していますが、株価暴落時に、短期的な利益(あるいは、少額に抑えた損)を、その場で投資の果実として手に入れるのではなく、次の収益の機会まで耐えることができる投資家は、それ以降も、株価暴落時に狼狽売りするのではなく、さらに将来に再びやってくるだろう株価収益の機会まで待つことができる、自制心の継続性を持っているのではないかと思います。

 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。