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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

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集中化が進むプラットフォーム・ビジネスとデータ獲得競争(GAFA)。寡占状態。年次経済財政白書を読んでみた。(No.8)

平成30年度年次経済財政報告ー「白書」:今、Society 5.0の経済へー

(平成30年8月3日)

 

は、面白いので、少しずつ読んでいきます。内容が盛りだくさんで読み応えがあります。

 

 

今回は、

 

第1章 景気回復の現状と課題

各節省略

 

 

第2章 人生100年時代の人材と働き方

各節省略 

 

 

第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化

 

第1節 第4次産業革命の社会実装

1 第4次産業革命の進展と経済構造への影響

2 集中化が進むプラットフォーム・ビジネスとデータ獲得競争

3 生産面・サービス供給面の改革:AI、IoTとロボティクスの普及

4 金融面の変化:FinTech/キャッシュレス化の進展

5 次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケアシステムの動き

 

第2節 イノベーションの進展と日本の競争力

1 企業レベルでみたイノベーションの現状とグローバル競争力

2 イノベーションの基礎力:人的資本、知識、技術力、研究開発の課題

3 イノベーションへの適合力:組織、人材投資、起業、ルール・制度面の課題

4 第4次産業革命の加速への挑戦

白書の注目点3:新たなイノベーションでの日本の強みと弱みとは

 

第3節 イノベーションの進展による労働分配率と生産性への影響

1 イノベーションの進展による労働分配率の変化

2 イノベーションの進展と生産性成長率

 

第4節 本章のまとめ:「Society 5.0」の経済へ 

 

 

のうちから、

 

第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化

第1節 第4次産業革命の社会実装

2 集中化が進むプラットフォーム・ビジネスとデータ獲得競争

 

について、引用します。

 

  

 

第1節 第4次産業革命の社会実装 

 

2 集中化が進むプラットフォーム・ビジネスとデータ獲得競争

 

・プラットフォーム・ビジネスにおいて、我が国は大きく出遅れ

 

eコマースやイノベーションの進展とともに、そうした技術や付随するデータを活用し、企業や消費者を相互に連結する、オンライン・プラットフォームの役割が重要となっている。

オンライン・プラットフォームには様々なものがあり、一般にはインターネットでの販売・取引市場、検索エンジンSNS等、広範なインターネット上の取引を仲介する場やシステムを指す。

こうしたオンライン・プラットフォームの存在は、ユーザーやサービス提供者にとって、

 

  1. 開業の容易さ、注文・配送の一括化等の取引費用の節約、
  2. 店を渡り歩く必要がない等の包括的な閲覧性、
  3. 一つのウェブサイトで買い物、動画・音楽鑑賞、ゲームなどを楽しめる等の範囲の経済性、
  4. 売り手と買い手のマッチング効率の向上といった

 

利点を持つとともに、プ ラットフォームの提供者(プラットフォーマー)には膨大なビッグデータの収集とその活用によって広告・宣伝、マーケティング等を通じ大きな利益がもたらされると考えられる。

 

オンライン・プラットフォームには上記のような経済的な特性のほか、ネットワークに連結される利用者の規模が大きくなるほど、個々のユーザーのメリットが拡大する「ネットワーク効果」(規模の経済性)が存在することが指摘されている。

具体的には、より多くのユーザーがプラットフォームを利用すれば、そこで提供されるサービスの質や量が増加し、それがユーザーにとってさらに当該プラットフォームを利用する魅力を高めるという効果が働く。

ネットワーク効果が大きい場合には、ユーザーを拡大するためにサービスが無料となることも多く、それが規模の拡大を一層加速する傾向がみられている。

また、一度利用すると他のプラットフォームに切り替えるためのスイッチングコストが存在するため、先行事業者が有利になることが多く、プラットフォーム・ビジネスへの新規参入が限定される傾向もみられる。

 

以上のようなプラットフォーム・ビジネスの特性を踏まえて、主要な国について、オンライン・プラットフォームを有する企業の規模をみるために、2018年3月末時点の時価総額を比較すると、こうしたプラットフォーム・ビジネスの先駆者であるアメリカでは、主要4社の合計 で2.7兆ドル(約287兆円)と圧倒的な規模を有しているほか、中国では、外国企業のアクセスを制限していることもあり、自国内の企業が大規模な国内需要を取り込んでおり、主要2社で9千億ドル(約96兆円)と相応の規模を有している。

一方、我が国は、両国と比べて、先行者利益の獲得ができておらず、国内主要企業の株価時価総額はわずか4兆円程度にとどまっており、アメリカ、中国に比べて大きく出遅れている様子がうかがえる(第3-1-2図)。

 

ただし、前述のとおり、プラットフォーム・ビジネスではネットワーク効果やスイッチングコストの存在のために、既存企業の寡占による競争の阻害、データの囲い込みといった問題(「データ覇権主義」)が生じたり、新規企業の参入が難しくなることでイノベーションを阻害する可能性もあることから、長期的にみると、巨大なプラットフォーマーの存在には一長一短があることには注意する必要がある。

 

 

第3−1−2図 プラットフォーム・ビジネスの規模と概要

プラットフォーム・ビジネスにおいて、我が国は大きく出遅れ

(1)各国のオンライン・プラットフォームを有する代表的な企業の時価総額比較

第3−1−2図 プラットフォーム・ビジネスの規模と概要。プラットフォームビジネスにおいて、我が国は大きく出遅れ

 

(1)各国のオンライン・プラットフォームを有する代表的な企業の時価総額比較 

各国のオンライン・プラットフォームを有する代表的な企業の時価総額比較

 

 

(2)主なプラットフォーム・ビジネスの概要

主なプラットフォーム・ビジネスの概要

 

 

 ・インターネット販売の利用は拡大

  

オンライン・プラットフォームの発展・普及に伴って、オンラインでの財やサービスの商取引(eコマース)が急速に拡大している。

主要な国について、BtoCのeコマースの市場規模をみると、近年はとりわけ中国での規模の拡大が著しく、2017年におけるBtoCのeコマースの規模では、中国が1兆1千億ドル(約125兆円)と最も大きくなっており、世界第二位の市場 であるアメリカの5千億ドル(約50兆円)を大きく上回っている(第 3- 1- 3図(1))。

 

 

中国におけるBtoCのeコマースの規模が急拡大した要因としては、

 

 1 もともと人口規模が大きいことに加え、

 2 農村部を含めて所得が上昇し消費支出が増加する余地が拡大したこと、

 3 小売の店舗網の発達が不十分であった一方でスマートフォンの普及等により通信施設や決済システムの整備が進んだこと、

 4 電子商取引を扱う大型の企業の台頭や政府による発展支援や規制緩和が行われたこと

 5 製造業の生産能力余剰の解消のため潜在的な消費需要を顕在化する手段として電子商取引が注目されたこと

 

等が影響していると指摘されている。

 

他方で、我が国のeコマース市場規模は、英国やドイツと同程度の規模にとどまっている。ただし、近年では、我が国のeコマース市場は財・サービスともに市場規模が拡大してきており、2017年における市場規模は全体で16.5兆円となっている(前掲第 3- 1- 3図(1))。

 

また、1年間にインターネット販売を利用した人の割合を国際比較すると、英国、デンマーク、ドイツなど欧州諸国で利用者割合が高い傾向がみられるが、我が国の利用率については、諸外国やOECD加盟国の平均と比べてやや低い(第 3- 1- 3図(2))。

こうしたことを踏まえると、我が国においては、今後、eコマースの利用率が上昇し、市場が拡大していく余地は大きいものと考えられる。

 

 

第3−1−3図 インターネット経由の製品・サービスの世界市場規模と利用率

インターネット販売の利用は拡大

第3−1−3図 インターネット経由の製品・サービスの世界市場規模と利用率。インターネット販売の利用は拡大

 

第3−1−3図 インターネット経由の製品・サービスの世界市場規模と利用率

(1)インターネット販売の売上高  世界の国別 BtoC市場規模(2017年、上位5ヵ国)

 

インターネッット販売の売上高 世界の国別 BtoC市場規模

 

 

(1)インターネット販売の売上高  日本のBtoC市場規模(製剤産業省「電子商取引に関する市場調査」)

インターネット販売の売上高 日本のBtoC市場規模

 

 (2)インターネット販売の利用率

  日本はOECD平均を下回り、53.7%(26位) 

インターネット販売の利用率

 

・シェアリングエコノミーは今後拡大が見込まれている

 

オンライン・プラットフォームを利用して行われるビジネスとして、eコマースのほかに、シェアリングやマッチングといったビジネスも拡大している。

民間機関の調査をみると、近年のシェアリングエコノミー産業の市場規模は、これまでのレンタル産業の市場規模の1割未満の150億ドル(約1兆5千億円)にとどまっている(第3-1-4図)。

 

ただし、シェアリングエコノミーの市場規模は今後10年程度の間に大幅な拡大が見込まれており、民間機関の予測では、貸出やクラウドファンディング、オンラインでの派遣やクラウドソーシング 、民泊などの宿泊サービス、カーシェアリング等、多岐に亘るサービスで拡大が見込まれている。

 

第3−1−4図 シェアリングエコノミーの市場規模

シェアリングエコノミーは今後拡大が見込まれている

 

第3−1−4図 シェアリングエコノミーの市場規模

 

第3−1−4図 シェアリングエコノミーの市場規模

1 世界のシェアリングエコノミー産業の市場規模(2013年、民間期間調査)

 

世界のシェアリングエコノミー産業の市場規模

 

 

 

第3−1−4図 シェアリングエコノミーの市場規模

2 世界のシェアリングエコノミー産業の成長率(2013〜25年、民間機関予測)

  

世界のシェアリングエコノミー産業の成長率(2013年〜25年、民間機関予測)

 

 

こうした売り手と買い手を直接結び付けるマッチング機能の向上は、潜在需要の喚起や、新ビジネスとイノベーション創出を促すと考えられる。

ただし、労働のシェアリング、民泊、衣服などのモノのシェアリングといった様々なシェアリングエコノミーに対する認知度や利用意向を、日米独で国際比較すると、日本ではいずれの分野でも米独に比べて認知度・利用意向とも低くなっている(第3-1-5図)。

 

この背景としては、従来型のサービス提供では、業法規制によって品質確保が図られることが多く、サービスを提供する事業者が品質の責任を負っているが、シェアリングエコノミーにおいては、サービスを提供する個人が責任を負っていることから、サービス品質にばらつきがあり、業法規制によるサービス品質管理は行われないことが通常であるため、利用者が安全性や信頼性の面で慎重になっている可能性が考えられる。

今後、我が国においてシェアリングサービスが普及するためには、認知度を上げることと同時に、「シェアリングエコノミー推進プログラム」に基づき、民間団体等による自主的ルールの普及展開により、安全性・信頼性を 一層高めていくことが重要な課題であると考えられる 。

 

第3−1−5図 シェアリングエコノミーの認知度と利用意向

日本のシェアリングエコノミーに対する認知度や利用意向は、米国やドイツに比べて低い

第3−1−5図 シェアリングエコノミーの認知度と利用意向

 

 

1 民泊サービス

民泊サービスの認知度と利用意向(日本、米国、ドイツ)

 

 

2 シェアサービスの種類と認知度、利用意向、利用率

  個人の家事等の仕事・労働のシェアサービス

  駐車スペースシェアサービス

  個人所有のモノのシェアサービス

 

個人の家事等の仕事・労働のシェアサービス(日本、米国、ドイツ)の認知度、利用意向、利用率

 

   

2 所感 

 

年次経済財政白書から、「第4次産業革命の進展と経済構造への影響」についてを引用しました。

 

 

プラットフォーム・ビジネスについては、出遅れているとは思っていましたが、もはや、手の打ちようがないほど、出遅れていることに驚きを感じました。

インターネット販売のBtoCに関しては、世界4位のようですが、1位(中国)、2位(米国)とは、各々10倍、5倍の開きがあります。

このBtoCについては、プラットフォーム企業の国籍がありませんが、よくよく調べてみると(中国を除けば)国籍は、ほとんど米国籍であったというようになりそうな気がします。

 

また、シェアリングエコノミーは、他国との比較ではなく、日本としての発展の余地があるので、今後の成長、展開が楽しみです。 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。