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次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケア・システムの動き。年次経済財政白書を読んでみた。(No.11)

次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケア・システムの動き

 

平成30年度年次経済財政報告ー「白書」:今、Society 5.0の経済へー

(平成30年8月3日)

 

は、面白いので、少しずつ読んでいきます。内容が盛りだくさんで読み応えがあります。

 

 

今回は、

 

第1章 景気回復の現状と課題

各節省略

 

 

第2章 人生100年時代の人材と働き方

各節省略 

 

 

第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化

 

第1節 第4次産業革命の社会実装

1 第4次産業革命の進展と経済構造への影響

2 集中化が進むプラットフォーム・ビジネスとデータ獲得競争

3 生産面・サービス供給面の改革:AI、IoTとロボティクスの普及

4 金融面の変化:FinTech/キャッシュレス化の進展

5 次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケアシステムの動き

 

第2節 イノベーションの進展と日本の競争力

1 企業レベルでみたイノベーションの現状とグローバル競争力

2 イノベーションの基礎力:人的資本、知識、技術力、研究開発の課題

3 イノベーションへの適合力:組織、人材投資、起業、ルール・制度面の課題

4 第4次産業革命の加速への挑戦

白書の注目点3:新たなイノベーションでの日本の強みと弱みとは

 

第3節 イノベーションの進展による労働分配率と生産性への影響

1 イノベーションの進展による労働分配率の変化

2 イノベーションの進展と生産性成長率

 

第4節 本章のまとめ:「Society 5.0」の経済へ 

 

 

のうちから、

 

第3章 「Society 5.0」に向けた行動変化

第1節 第4次産業革命の社会実装

5 次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケア・システムの動き

 

について、引用します。

 

  

 

第1節 第4次産業革命の社会実装 

 

5 次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケア・システムの動き

 

・自動車の無人自動走行や環境対応に向けた動きが見込まれている

 

 

自動車産業は、単独の産業としては最も大きな市場規模を持ち、日本が比較優位を持つ産業の代表例であるが、近年、電気自動車(EV)をはじめとする環境対応車の普及に加え、第4次産業革命の進展によって、テレマティクスサービス(車両の運行状況や位置情報などをインターネットでつなぐことで、車両の保守管理、燃費削減、運転支援、運転関連情報などのサービスを提供するもの)や無人自動走行に向けた取組が広がりつつある。

こうした構造変化は、これまでのバリューチェーンを大きく変え、日本の競争力にも影響が及ぶ可能性があることから、その動向が注目されている。

 

具体的には、電気自動車の普及は、これまでのように蓄積されたノウハウや工作技術が必要とされてきた内燃機関や機械系の制御部品へのニーズが減少し、より汎用性の高い電子モーターや電子系制御部品に置き換わることで、自動車のモジュール化が進むとともに、テレマティクスの普及や無人自動走行化に向けた技術開発が進む過程で、これまでハードに一体化された車両単位から、車両制御OS、車載情報端末、通信などが新たなレイヤーとして分離する可能性が高い。

実際に、車両制御OS、車載情報端末、通信などの新たなレイヤーには、自動車関連企業だけでなく、IT関連企業など異業種が参入しつつある状況にあり、今後、自動車のEV化、スマート化が進むことが見込まれる中で、これまで熟練の技術や生産効率性などに 依存してきた既存の自動車メーカーの競争優位は、ソフトに優位性を持つ上位レイヤーを担う企業との組合せによっても大きく影響を受ける可能性が高い。

 

最後に、こうした動きが今後どのようなペースで進展していく可能性があるかについて確認する。我が国や欧米では自動運転システムの定義をレベル0からレベル5の6段階に分けて定義しているが、現在では、自動運転システムが操舵や加減速のどちらか(レベル1)、ないし両方をサポート(レベル2)するところまでしか実用化されていない。

また、本格的な自動運転といえるレベル3(特定の場所で緊急時を除き自動運転)については、一部対応した車種が導入されている状況である。なお、民間機関の調査をみると、世界市場で完全自動運転システムといえるレベル4(特定の場所で完全自動運転)、レベル5(場所の限定なく完全自動運転)の本格的な実用化は2025年以降と予測されているが、2035年には世界の新車販売台数(乗用車)の2割を超えるとの見方もある(第 3- 1- 10図(1))。

 

 

レベル 区分 内容  説明
レベル0 従来 ドライバーが全てを操作 通常のクルマ 通常のクルマ
レベル1 運転支援 システムがステアリング操作、加減速のどちらかをサポート

システムが

・車線の逸脱を検知するとステアリングを補正、

・先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC

(ACC:アダプティブ・クルーズ・コントロール

など、ステアリング補正やスピード調整のどちらかをサポートし、ドライバーがもう一方をコントロールする技術を備えたクルマ 

ホンダ ホンダセンシング、
レベル2 運転支援 システムがステアリング操作、加減速のどちらもサポート

システムが

・車線の逸脱を検知するとステアリングを補正、

・先行車との距離を一定に保つために自動でスピード調整をするACC

など、ステアリング補正やスピード調整のどちらもサポートする技術を備えたクルマ

テスラ オートパイロット(モデルS、モデルX)、、日産プロパイロット、スバル アイサイト・ツーリングセレクト、メルセデス・ベンツ インテリジェントドライブ(Eクラス)、ボルボ パイロットアシスト(XC90、S90、V90)、アウディ プレセンス(A4、Q7、A3、S3、Q2)、フォルクスワーゲン オールイン・セーフティ(ゴルフ)、BMW ドライビング・アシスト・プラス(Sシリーズなど)

レベル3 自動運転 特定の場所でシステムが全てを操作、緊急時はドライバーが操作

システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。

ドライバーが緊急時やシステムが作動困難になった場合は対応を行います。

現状は、Audi A8のみ
レベル4 自動運転 特定の場所でシステムが全てを操作 システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。システムが緊急時の対応も行います。 現状市販車はない。コンセプトカーやテスト走行
レベル5 完全自動運転 場所の限定はなく、システムが全てを操作 システムが場所の制限なく交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。システムが緊急時の対応も行います。 現状市販車はない。コンセプトカーの発表のみ

 

 

 

また、環境対応車について、民間機関の調査をみると、2015年の実績で世界市場では214万台、日本市場では89万台となっているが、2020年には世界市場では2倍の450万台程度、2030 年には6倍の1200万台程度に拡大するとの見方もある(第 3- 1- 10図(2))。

 

第3−1−10図 自動運転システム及び環境対応車の世界市場予測

 自動車の無人自動走行や環境対応に向けた動きが見込まれている  

f:id:kusunokiyama:20180831083628p:plain

 

(1)自動運転システム(レベル4・5)の市場予測(民間機関予測)

   世界市場  

 

f:id:kusunokiyama:20180831083911p:plain

 

(2)環境対応車(EV、燃料電池車など)の市場予測(民間機関予測)

  世界市場

 

f:id:kusunokiyama:20180831084157p:plain

 

(2)環境対応車(EV、燃料電池車など)の市場予測(民間機関予測)

日本市場

 

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 ・次世代ヘルスケア・システムの構築に向けた動きが進んでいる

 

医療・介護分野でも、データや技術革新の積極的な導入や活用を行い、個人・患者本位の新しい「健康・医療・介護システム」を構築することで、医療機関や介護事業所による個人に最適なサービスの提供や、保険者や個人による予防・健康づくりを進めるなど、次世代ヘルスケア・システムの構築に向けた動きが進んでいる。

 

具体的には、政府が2018年6月に決定した「未来投資戦略2018」において、個人の健診・診療・投薬情報が医療機関等の間で共有できる全国的な保健医療情報ネットワークについて2020年度からの本格稼働を目指すこととされた。また、ICT化や現場ニーズを踏まえたロボット・センサー、AI等の開発・導入を推進し、医療・介護現場の生産性向上を図ること、住み慣れた地域・我が家において安心して在宅で医療やケアを受けられるよう、服薬指導を含めた「オンラインでの医療」全体の充実に向けた所要の制度的対応を進めることなどが挙げられて いる。

 

  

2 所感 

 

年次経済財政白書から、「次世代モビリティ・システム、次世代ヘルスケア・システムの動き」についてを引用しました。

 

2025年には、レベル4、5の自動運転車が市販されるようで、とても楽しみでです。自動車産業が一段と隆盛を見るかもしれません。

 

世界市場と、日本市場で、環境対応車の予測が全く異なったものになっています。世界と日本市場とでは、10倍の市場規模の差があります。プラグインハイブリッド、電気自動車で大きく水を開けられ、ケータイと同じく、ガラパゴス化する可能性があります。ケータイと異なり、自動車は、市場範囲を限定しない共通の消費財なので、ガラパゴス化するようでは、日本の自動車産業は一気に衰退に向かうでしょう。 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。