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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

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野望 王績 (唐詩選より)

野望

 

王績

 

東皐薄暮

徒倚欲何依

樹樹皆秋色

山山惟落暉

牧人驅犢返

獵馬帯禽歸

相顧無相識

長歌懐采薇

 

 

東皐(とうこう)薄暮に望み

徒倚(しい)何(いず)くにか依らんと欲する

樹樹(じゅじゅ)皆秋色(みなしゅうしょく)

山山(さんさん)惟(た)だ落暉(らくき)

牧人(ぼくじん)は犢(とく)を驅(か)りて返り

猟馬(りょうば)は禽(きん)を帯びて帰る

相顧(あいかえり)みるに相識(そうしき)無し

長歌(ちょうか)采薇(さいび)を懐(おも)う

 

 

夕暮れのせまるころ、私は東の丘にのぼり、山野をながめつつ、あてもなく歩きまわる。私はいったい、どこにこの身を落ち着けようというのだろう(その私の姿が、よるべのない私の心境を表現しているのだ)。

見渡す限りの木々は、すべて美しい秋の色に染まった。

はるかな山々は、夕映えの紅一点に塗りつぶされている。

牧夫たちは子牛を追いながら、牧場から帰ってくる。

猟師たちは、馬に獲物の鳥をさげて、家へと帰っていく。

だが、私だけは、あたりを見まわしても、誰ひとり知人はない。

私は声長く歌いつつ、あの首陽山にこもってわらびをとった伯夷・叔斉の、孤高の生涯を思いおこすのである。

 

 

伯夷・叔斉(史記の伯夷列伝にみえる)

周の武王が殷を滅ぼして、周王朝をたてたとき、伯夷・叔斉(伯:長男、叔:三男)という兄弟の賢者が周に仕えることを恥として、「周の粟は食べない」と誓い、首陽山にこもってわらびを常食とする生活をおくり、ついに餓死した故事。

 

(高校時代の漢文の教科書に、伯夷列伝が出ていたことを思い出します。) 

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。