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数値に弱いサラリーマンの少額株式投資

米国株式、投資信託、日々の生活などについて発信します。



円資産のみでも、為替レートの影響はあるという事実

1 円資産のみだと為替の影響とは無縁なのか

 

 

 

日本の金融商品のみに投資する理由として、「為替の影響を受けないから」という回答を聞くことがありますが、本当でしょうか?

 

1 円建ての預貯金の場合

 

預貯金の場合は、円のみの資産であれば、見かけ上、為替とは関係なさそうですが、実際の購買力平価(直接イメージしやすい指標として、俗称(マクドナルドの)ビックマック指数などというものがある)を考慮した場合、為替の影響は避けられません。

 

まず、円建ての円預貯金の購買力は、円安になると輸入製品の価格が上がるため、購買力が下がり、円高になると輸入製品の価格が下がるため、購買力が上がります。

 

この影響は、一般的な輸入商品(衣類、食料、日用雑貨など)だけではなく、光熱燃料費が大きな影響を受けます(光熱燃料費はほとんどの場合、原料が輸入品です。太陽光発電は発電すること自体は為替の影響を受けませんが、太陽光発電システムの部品が輸入品を採用している物もあるため、初期投資額、メンテ部品代が為替の影響を受けます。)

 

2 円建ての株式等の金融商品の場合

 

 円建ての日本株式を保有している場合はどうでしょうか。

 

1 材料輸入・製品国内向け

 

まず、製造業で、「材料輸入・製品国内向け」の場合を考えてみます。米国ドル建てで輸出入をしていることが多いです。

円安米ドル高の場合は、材料輸入時に材料費が上がりますので、価格に転嫁されやすくなります。また、逆に、円高の場合は、材料費が下がる分製品が円建てで安くなりやすいです(実際には円高、即、製品値下げになるわけではありません。円高の場合、燃料費が安くなりますが、即、反映するほど単純ではありませんが・・)

 

2 材料輸入・製品輸出向け

 

次に、製造業で、「材料輸入・製品輸出向け」の場合は、輸出時に円安ドル高の場合、円換算の売上高が上がりますので、企業業績が好転します。企業業績の好転は、好感されやすくなり、株式価格の上昇圧力になります。逆に、円高ドル安の場合、逆に、企業業績を下押しし、株式価格の下落圧力になります。

 

日本の製造業は、「材料輸入・製品輸出向け」が多いため、上記のように為替の影響をうけ、株式市場全体に波及していきます。

 

3 内需関連(公益事業等) 

 

また、公益(電気ガス業)、運輸業、農水産業、食品、日用品などが、為替の影響を直接受けます(燃料材料費として)。

 

4 為替の影響の広がり 

 

また、日本の企業は、第二次産業(製造業)が多いため、その業績は他の様々な業界に波及していき、日本の企業全体が通貨変動の影響を受けることになります。

 

3 (参考)外国通貨建ての金融商品の場合

 

外国通貨建て金融商品については、円換算の価格が直接影響します。

外国建ての金融商品としては、外国為替取引、外国通貨建ての保険商品、外国建ての株式、債券等、様々な金融商品があります。

これらは、元々、外国通貨建てなので、円安・外国通貨高時は、円建て価格が上昇し利益が出ます。反対に、円高外国通貨安時は、円建て価格が下がります。

この種の金融商品に投資する時点で、為替の影響が大きく投資成果に反映することが、わかっていることですから、仕方なく諦めるしかありません。

 

4 長期のレンジはどうか

 

また、長い目で見ると、円ー米国ドル相場が、円高ドル安に向かうか、反対に、円安ドル高へ向かうかはなんとも言えません。

 

管理人は、数十年のスパンでは、円安ドル高に向かうのではないかと予想しており、今のうちに、ドル建て資産を増やしておく方が、長期的には有利に働くと思っています。

 

2 所感

 

円建て資産であれば、為替の影響を受けないという単純な構図ではありません。今後の為替相場がどういう方向に向かうかを、自分なりの考えを整理して持っておく方が、今後の資産形成の判断基準になると思いますので、是非、予想してみて、行動した方がよいと思います。長期でどうなるかという視点での行動ですので、必ずしも、今すぐ、動く必要はないかとは思います。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。楠木山人。